
今年の夏ごろから、アメリカで発生した「サブプライムローン」問題が世界の経済に影響を与えています。当初の予想よりも各国の金融機関に対する影響が大きく、7-9月の4半期の決算で多額の損失を計上するところも出てきました。
「サブプライムローン」とは、アメリカにおいて所得が低いなど信用力の低い個人向けに住宅を担保とした「住宅ローン」のことです。1年くらい前までは、アメリカの不動産の価格も上昇を続けていたので、不動産の担保価値も上がり、また保有している住宅を転売することもできたので、ローンの延滞率の水準も一定であまり大きな問題にはなりませんでした。しかし、金利の段階的な引き上げもあり、不動産価格の上昇に歯止めがかかりました。またこのローンは、当初は返済負担が少ないものの、数年後には返済負担が増えるという特徴をもっています。その結果、保有している住宅の転売もできず、合わせてローンの返済額が増えたことにより、ローンを延滞する人が増え、貸し出しをしている金融機関の経営に悪影響を及ぼしています。
この件についてのもう一つの問題は、金融のプロと思われている人々がパニックになっていることです。マーケットにはリスクが高くても、高い収益を受取りたいという投資家がいます。そのため、彼らは住宅ローンの債権(元利金を受取る権利)を金融機関から買取って、別の形の金融商品に組み替えていきました。そしてリスクの分散を図るために、このリスクを証券化することで、各国の金融機関他、投資家がこれらの商品を購入していきました。結局、金融商品を作った金融のプロの人々も、どこにリスクがあるのかわからない状況に陥っています。
日本でも数年前に住宅金融公庫の「ゆとりローン」というのがありました。当初の5年間は返済額を抑え、6年目から返済額がアップするというものでした。当時、返済が滞る人が出るのではないかとニュースになっていた記憶があります。私は住宅ローンを含め、お金を借りやすくなることが本当に良いことなのかは個人的に疑問です。私が新人の銀行員だった頃でさえ、住宅ローンについては「資金の3割は最低でも自己資金を持ってください」とお伝えしていました。当時は現在と違って給料も上がり、住宅の借り換えもでき、終身雇用により退職金もいただけるという前提でした。
自分の「住まい」を持つという夢を実現するためには、大半の人が「住宅ローン」という負債を背負わなくてはなりません。当初、皆様にとって好条件と思われること・・例えば頭金ゼロ、100%ローンがでます・・が良いことかどうかはわかりません。是非、しっかりとした資金計画を立てて、「住まい」を持つという夢が正夢になることを期待しています。
太田治彦プロフィール
昭和36年8月生 東京都出身
家族:妻、子供3人、平成10年の10月より札幌に在住
好きな言葉:Control What You Can Control~「自分が出来ることをしましょう」~
昭和59年4月にメガバンクへ入行し、東京都内の支店6ヶ店及び札幌支店を歴任。その後、外資系証券会社勤務を経て、平成14年6月に独立系のファイナンシャルアドバイザーとして個人として独立。中立的な立場でお客様の考え方に合った資産運用、管理等のアドバイスや具体的な金融商品の提案並びに販売を始める。その他、セミナーやミニ勉強会等も開催(投資教育など)。